ビジネスには、個人事業と法人事業の2種類があります。法人で事業をおこなうには、法人登記、つまりは会社を立ち上げなければいけませんが、個人事業の場合は、会社を立ち上げる必要はありません。

そこで、「どこからが個人事業なのか?」個人事業を始めるにはどうすればいいのかという点について、お話していこうと思います。

 

個人事業はどこから?

個人事業とは、その名のとおり個人がビジネスをおこなうことを指します。会社や法人に所属せずにフリーランスでビジネスをおこない、利益を出せば、それは立派な個人事業になります。

つまり、どこからが個人事業なのかと言えば、それは法人以外でビジネスをおこなった段階からということになります。パートタイムやアルバイトは法人に所属しますので個人事業ではありませんが、例えば内職や今流行のアフィリエイトなどのインターネットビジネスを個人でおこなった場合は個人事業となります。

どんなに些細な収入でも、個人で収益が出れば、それは立派な個人事業の収入となります。

 

個人事業主の注意点

個人事業主になることは、今やとても簡単です。しかし注意しなければいけないのは、個人事業をおこなう場合は届出を出さなければいけません。確定申告などの税務上の役割も生まれます。

個人がビジネスをおこなう場合、法人ビジネスのように大掛かりな事業にならないことも多く、ついつい申告を忘れてしまいがちです。しかし個人事業をおこなっていて申告をしていないと、税務署から目をつけられたり、追徴課税が必要になったりします。

この「追徴課税」とは、税の申告を正しくしていなかった、もしくは申告漏れがあり、その反則金として本来の税とあわせて課税されるものです。レンタルビデオでいう延滞金のようなものです。

 

個人事業に必要な手続きとは?

では、個人事業を始める上で、最低限おこなわなければいけない手続きを見ていきましょう。法人事業と違って個人事業の場合はさほど面倒な手続きを必要としません。

まず、地域管轄の税務署へ行き、所得税の申請書類を提出します。これは前回の記事で説明したのですが、白色申告と青色申告があり、あまり大きな収入がないのであれば白色申告のほうが簡単で楽です。

そして個人事業の「開廃業等届出書」を提出します。これによってあなたが個人事業をおこなうことが法的に明らかになります。個人事業主が必要な届出は、ザッと言えばこの税務署への申告や簡単な必要書類の提出のみです。

 

たとえ現在は大きな収入がなくとも、個人事業をやっている限り今後は収入が増大していきます。そうなった時に追徴課税や国から目をつけられないように、たったこれだけの手続きはしておいたほうがいいのではないかと思います。

ビジネスをおこなっていく上で、確定申告は必須となります。会社勤めの場合は、会社でそれらの手続きをしてくれるため、あまり考えたこともなかったという人でも、いちから事業を立ち上げていくと、必ず自分で申告をしなければいけなくなります。

たとえば、副業や内職などでも厳密にいえば所得がありますから、確定申告の必要性が出てきます。個人事業でも事業は事業です。さて、申告の用紙としては、「白色」と「青色」があることはご存知の方も多いと思います。具体的にこれらの違いとはどのような部分にあるのでしょうか?

 

白色申告とは?

白色申告は、経理の中でもとても簡単で、個人でも比較的負担が少なく手続きが出来るものになります。副業として些細な収入がある方や、独立してフリーランスの事業をおこなっているけれど、今現在はまだそこまでの収入がないという方に向いています。

経理の経験がなくても比較的手続きが簡単で、「簡易簿記」なので、家計簿をつけるのとさほど変わらない手順で記入していけば良いだけです。手書きでも構いませんし、無料のフリーソフトなどを使って記入していっても良いです。エクセルが使えるのであれば、エクセルを使って簡易簿記の記録が出来ます。

届出をする必要がありませんから、手軽に手続きが出来ます。フリーランスの副業をはじめたばかりの人などにおすすめです。しかし、特別控除はありません。

 

青色申告とは?

つづいて、白色申告よりも少し複雑になったものが青色申告です。より細かな内容を記入することで、いろいろな利点がありますが、同時に手続きが複雑化するため、あまり事業所得がないのであれば白色のほうが手っ取り早いでしょう。

青色申告を利用するのであれば、多かれ少なかれ税理士にチェックをしてもらったほうが無難です。後々、不備が見つかると追微課税などの対象になってしまいます。青色申告は、すでに事業で一定の収入があるか、後々法人化を視野に入れている場合などにメリットとなります。

青色申告には、大きく2種類が存在し、「簡易簿記」と「複式簿記」があります。簡易簿記のほうであれば、手続きは白色申告に毛が生えたようなものなので、さほど大変ではありません。特別控除として10万円が付くのも白色と比べてメリットとなります。

複式簿記となると、特別控除が最大で65万円まで付きますが、条件が厳しく、手続きも複雑になるので税理士の手を必要とします。また、青色申告をするには届出の必要があり、国税庁のページなどからPDF形式の申請書をダウンロードして、近くの税務署に提出する必要があります。

青色申告の複式簿記を利用すれば、メリットも大きく、赤字を3年間繰り越すことが出来たり、繰り戻しができます。また、貸倒引当金を利用できたり、減価償却資産を300万円まで一括で処理できるなどのメリットがあります。

 

さて、青色申告は手続きが複雑になるので、経理や税務に長けた人や、そのような人材が周りにいる人は、多いに青色申告を利用するべきだとは思いますが、経理に不慣れな人は手続きの面倒さや要する時間を考えると、白色申告のほうが無難です。

税理士を雇えば、そもそも全てが解決しますが、白色申告にせよ青色申告せよ、一度、税理士などの専門家へご相談されることをおすすめします。より自分にとってメリットのあるほうを選択したほうがいいと思います。

以前も記事で、ビジネスのしかたには法人事業と個人事業の二種類の方法があると説明しました。どちらでビジネスをおこなっていっても問題はないのですが、個人事業と法人事業にはそれぞれメリット・デメリットがあることもお話ししてきたと思います。

そこで今回は、法人化のタイミングについてお話していこうと思います。具体的には、「法人化で個人事業よりもメリットが大きくなるタイミングはいつか?」というようなお話しになります。

 

・所得が1,000万円を超えた時

一般的によく言われていることとしては、所得が1,000万円を超えたら法人化をするのがタイミング的によろしいとされています。これは、税金面や経費の面で、法人化したほうが有利になるからです。具体的には、1ヶ月の収入が80〜90万円を超えたあたりで法人化すると良いようです。

個人事業でも経費を使うことはできますし、法人化をしたからといって所得税がかからないワケではありませんが、日本の法律上、累進課税を採用しているので、どうしても所得が上がれば上がるほどに、税率も高くなります。

 

・法人化の準備が整った時

法人化をする方法は、法人登記をするだけです。今や会社法が改正され、資本金1円から株式会社を設立することができるようになったので、起業資金さえ用意できれば、誰でも起業できることになります。株式会社を立ち上げるのに手続き上かかる費用は、だいたい25万円前後と言われています。

また、スタート時に資本金1円から立ち上げることができるようになった株式会社ですが、現在でも資本金1,000万円の基本は変わっていません。つまり、1円スタートの場合、後から(5年以内に)頑張って資本金を増やさなければいけないということです。なので、資本金の1,000万円と法人登記にかかる費用や、事務所のテナント、備品にかかる費用など、一通りの資金を準備できたタイミングで起業するというのもひとつの方法です。

どちらにしても、1,000万円を溜め込むということは、収入の水準が高くなければできません。年収で1,000万円を稼ぐか、資本金の1,000万円を溜め込んだら法人化をするといいでしょう。

 

法人化の節税について

個人事業では、ほとんど節税をすることができません。利益のほぼ全てが「所得」として換算されてしまうためです。しかし、法人の所得になると色々と割り振ることができるようになるため、税金面で節約ができます。

個人の所得が低いうちは、あまり節税について考える必要はありませんが、所得が上がるにつれて累進課税によって税率もどんどん上がっていくので、節税について考えていく必要が出てきます。その最も最適なラインが先ほどお話しした1,000万円あたりのラインというわけなのです。

正直、あまり収入が少ないうちから法人化をしてもメリットは殆どありません。節税対策も何も所得税率がもともと低いからです。法人化することで税務や経理が複雑になることも考慮すると、やはり法人化するタイミングは見計らったほうが良さそうです。

 

経費について

仕事や業務に関連する事柄で使用した出費については、経費を使うことで節税になります。しかし、個人事業では経費として計上できる範囲が狭いので、この部分に関しても法人化するメリットはあると言えるでしょう。

 

・事業を拡大する時

現在おこなっている事業を拡大して、さらに利益や知名度を高めていこうというようなタイミングでは、やはり法人化したほうがメリットが大きくなります。たとえば、何か製品を販売する場合に、個人名で販売するのと法人名で販売するのでは、たったそれだけのことでも消費者の信頼度や印象が変わってきます。

また、一定の事業予算が必要で、融資を検討している時などにも法事かのメリットはあります。個人事業よりも融資を受けやすくなりますし、法人化することによって社会的な信頼度が高まります。

 

・法人相手に取引をする場合

共同で事業をおこなう場合や、何かしらの契約を企業間で結ぶ場合には、法人化のメリットが大きくなります。法人企業と契約を結ぶ場合に、個人事業者よりも法人のほうが信頼度が高いことは言うまでもありません。

それだけではなく、法人格として対等な取引を持ち込むことができるため、こちら側としても取引が有利に運びやすくなります。個人名というだけで取り合ってくれないということもよくあります。

 

肩書きが法人だというだけのことなのですが、それだけでブランドとしての意味合いをもってしまうのが、法人というものなのです。

税理士や税理士事務所にもさまざまな種類があります。その人やその事務所によって得意分野が変わってくるのです。税の分野も多岐にわたっていますから、実際にどのような経験を積んできた税理士なのかによっても、得意分野が別れるのはごく当然の流れです。

今回は、そんな専門性のある税理士についてご紹介していきます。

 

医療専門の税理士

医療関係の分野にも税理士の存在は欠かせません。医療の分野にあったより細かい税務を熟知していたり、実際に医療関連での税務経験がある税理士が重宝されるからです。

たとえば、病院で出される処方箋のお薬には消費税がかかっていないって知っていましたか?実は風邪を引いて薬局で購入した薬なども医療費控除の対象となるのです。

これは、ごく消費者の目線から例え話をさせていただきましたが、医療の分野に必要な税の知識を有している専門家の存在は大きいのです。とくに近年では薬局薬店、病院なども非常に増えています。高齢者向けの介護施設や若者向けの美容クリニックなど、実にさまざまな医療機関が存在します。

 

学校の税理士

「税理士の学校」ならよく聞きますが、「学校の税理士」というのも重要なお仕事です。大学や専門学校などの私立学校法人にも税理士の存在は欠かせません。税理士を育成する専門学校の運営にも税理士さんが携わっていたりするのです。

 

不動産関連の税理士

不動産業を営むにも実にさまざまな税の知識が必要となります。当然、税理士の存在は欠かせないものとなりますし、不動産取引に関わるさまざまな税のアドバイスや経営コンサルなどもおこなっています。

 

得意分野と不得意分野

いくつかご紹介したように、税理士にも得意分野が存在します。税理士になる時点で、これらの幅広い税の知識を身につけていますが、やはり仕事柄、多く引き受ける内容はより詳しくなりますし、手続きのスキルも増していきます。逆にあまり依頼を受けないような分野に関しては、不得意な可能性もあるため、税理士さんとの相性次第ということにもなります。

会社を立ち上げる人間が、自分の得意分野をのばしていくように、税理士も同じように得意分野を持ち、専門性を持つことで、より多くの依頼に対応することができるようになるのです。

ですので、まずはあなたにあった分野を専門とする税理士さんを見つけてみてください。近年では初回相談を無料でおこなっている税理士事務所もとても多いです。実際に相談してみることによって税理士さんとの相性や専門性を見極めていくといいのではないかと思います。

「税理士」とひとえに言っても、実はさまざまな種類の税理士がいます。税理士は税理士でも勤務の形態が違うとでも言えばいいでしょうか。会社を経営する場合には、多かれ少なかれ税理士の力を借りることになりますが、その時のために、税理士の種類について知っておきましょう。あなたの会社にとって、どの税理士が最適なのかを検討するヒントになります。

 

税理士とは?

税理士とは、税務に携わる専門家のことを指します。税金の種類は多岐に渡り、その納税者もまた多岐にわたります。必要な用途に合わせて納税者の要望に応えつつ税務をおこなったり代行するのが、税理士の役目になります。

税金には複雑な知識が必要となり、個人・法人などの形態によっても必要な税務は変わってきます。税務について深い知識があり、専門家として個人・法人にたいしてアドバイスができる立場の人間と言えるでしょう。

 

・開業税理士

一般的によく知られている税理士の形態です。独立して店舗を構え、自分の事務所を持っている税理士です。税理士として個人で活動していくために事務所を作り、アシスタントなどを雇った形態になります。自身が最高責任者となり、自分の責任と判断で申告書に署名をしたり押印をします。

独立して事務所を構えるということは、税理士としての仕事のみならず、自身の会社を経営していかなければいけない立場でもあるため、生き残り競争の激しい世界でもあります。そのため、開業税理士は経営コンサルなどを積極的におこなっている場合が多く、自身の経験を生かした経営のコンサルが期待できます。

 

・社員税理士

独立した税理士ではなく、会社に勤めている税理士が社員税理士になります。税理士の法人に社員として勤務している税理士です。税理士法人とは複数の税理士が集まって立ち上げられる会社で、さまざまな税理士が勤務しますが、その特徴のひとつとして、社員のひとりひとりが「無限責任」を負うという点があります。

無限責任とはつまり、際限のない責任です。何かしらの損害を被った場合、その損害を無限責任で保障するということになります。開業税理士の場合、開業した税理士のみが責任を負います。しかし、税理士法人の場合は勤務している税理士全員が同様の無限責任を持つことになるため、依頼人にとっては信頼性がとても高くなります。

 

・補助税理士

最後に「補助税理士」があります。これは、他の税理士事務所や税理士法人に所属している税理士で、自分の事務所には所属していない税理士のことを指します。税理士としての人員を確保するために用いられることの多い形態ですが、税理士全体で見てこの補助税理士として登録をする税理士はとても少ないと言えます。

補助税理士として登録する参考例としては、税理士として活躍する父親の息子が税理士になって開業したとして、息子だけでは人員が薄いため、父親が別の事務所に所属しながら息子の補助税理士としても登録する場合などがあります。

また、普段は会計士など、別の業務をこなしながら、税理士としても活躍するという場合にも、補助税理士の形態が用いられます。補助税理士の制限としては、独立して開業することができません。

 

このように、税理士の有資格者は上記の3つのうち、いずれかの税理士として登録することによって活動ができるようになります。税理士は大きくわけてこの3種類に分類されます。ご自身が会社をおこすとして、税理士に税務を依頼するのであれば、現実的には「開業税理士」か「社員税理士」のどちらかに相談するのが一般的でしょう。

写真:大平 清貴

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