税金の中でも事業者にとって重要なものの一つに「消費税」がありますね。私たち一般の消費者が支払っている消費税は、事業者に間接的に支払われているものになり、これを事業主が最終的に国に納付します。

消費税納付の計算方法については、「本則課税」と「簡易課税」の2種類があります。

 

本則課税とは?

ごくごく一般的な消費税納付の計算方法になります。

消費税は、例えば商品を販売している場合、消費者から間接的に受け取ります。そしてそれを事業者が国へ納付するのですが、問題は仕入れにかかる費用にも消費税がかかることにあります。

仕入れに消費税がかかり、売上げにも消費税がかかるのであれば、事業全体で見れば二重課税になってしまいます。そこで、仕入れにかかった消費税を売上げで出た消費税から差し引くことで、その差額を国に納付するのが基本的な課税の仕組みです。

一般的には、売上げで発生した消費税の方が仕入れにかかる消費税よりも多くなりますから、これで良いのですが、まれに仕入れでかかった消費税の方が上回る場合があります。

この場合は、後から多く支払った分の消費税を返還してもらわなければいけません。

 

簡易課税とは?

本則課税の計算は、経理上非常に面倒なものです。仕入れにかかった正確な費用と消費税、そして売上げで発生した消費税を計算しなくてはいけないからです。

これが個人事業主や中小企業ではなかなかままなりません。そこで新たにできたのが「簡易課税」という制度です。基本的な計算は本則課税と変わらないのですが、仕入れにかかった消費税の代わりに「みなし仕入率」というものを利用して支払う消費税を計算します。

仕入れでどれくらいの消費税がかかったかを正確に計算する必要はなく、売上げで出た消費税に対してみなし仕入率をかけることで支払う消費税が決定されます。

 

みなし仕入率

みなし仕入率は、売上げで出た消費税の50%〜90%までが用意されており、もっとも高い比率でも支払う消費税は売上げで確定した消費税の1割引で済む計算になります。

90%のみなし仕入率が適用されるのは、第一種事業者、つまりは卸売業者などになります。飲食店などは第四種事業者に部類され、みなし仕入率は60%、不動産や運搬、サービス業などでは最も低い50%が適用されます。

 

簡易課税のほうがお得!?

みなし仕入率は実におおざっぱな税率なので、場合によっては簡易課税を導入した方がお得になります。

たとえば、売上げで出た消費税が500万円で仕入にかかった消費税が150万円だとすると、本則課税で計算すると350万円を消費税として納付する必要があります。しかし、これが先述した例の第四種事業者だった場合、みなし仕入率は60%ですから300万円ですから、売上げから差し引き200万円の納入で済むわけです。

その差額は150万円にもなりますね。これは極端な例ですが、このようにみなし仕入率よりも実際の仕入にかかった消費税の方が少ない場合は、簡易課税でみなし仕入率を導入した方が支払う消費税ははるかにお得です。

ビジネスや事業にかかる仕入れや外注などの費用は「経費」として計上できます。経費として落とすことによって、その分の費用が所得税や法人税などの課税対象外となるのです。

単純に考えて、事業で出費した費用にまで税金がかかるのはおかしいですよね?経費が使えるのは法人企業だけだと思っている人も多いようですが、個人事業主であっても正しい申告をすれば、一定の経費を使うことができます。

では、個人事業主が使える経費にはどのようなものがあるのでしょうか?

 

・租税公課

会社で利用する自動車の税金や収入印紙にかかる費用、個人事業税などを計上する項目です。個人事業をおこなっている場合、個人事業税がかかりますが、この分も経費として収入の中から差し引くことができます。ただし、所得税や住民税などはこれには含めません。

・水道光熱費・通信費

事業所で発生するガス代や水道代、電気代なども経費として計上することができます。ただし、自宅兼職場のような場合では、自宅での個人使用の光熱費も含まれてしまいます。

この部分では、多くの場合、あまり気にせず一括して経費として計上している人も多いですが、個人使用の光熱費とは勘定を分けた方が安全です。

また、同様にインターネットやプロバイダなどにかかる料金も経費として計上することができます。

・消耗品費

事業で使用する文房具や印刷用紙、ガソリン代やマウスなど、主に消耗品の補充に関する経費がこれにあたります。あくまでも消耗品なので、消費する期間が1年以内であったり、価格が10万円未満のものなどの制限がつきます。

・広告宣伝費

ネットに出すPPC広告の費用やフリーペーパーでの宣伝などの費用がこれにあたります。他には名刺などもある意味宣伝を担うので、これに含まれます。

・接待交際費

仕事の取引先との飲食や接待、お中元やお歳暮などはこの項目で計上できます。

・給料賃金・外注工賃

支払われる給料やテナントオフィスを借りる賃金、退職金や有給などの費用がこれにあたります。ちなみに従業員に支払われる給料は「給料賃金」ではなく「専従者給与」という項目で計上します。

外注工賃は、ホームページの作成や修理、看板の取付など、外注業者に支払った賃金を経費として計上する項目です。

・雑費

そして、特にどの項目にも属さない経費に関しては、最悪「雑費」として計上することができます。

 

最後に

いかがでしょうか?個人事業主でも経費を使うことはできます。水道光熱費など、本来であれば経費として計上できるものも収入にカウントしてしまうと損をすることになります。

ここでご紹介したのは主要な経費の一例です。他にも使える経費の名目がありますので、詳しくは税理士などの専門家へ相談してみてください。

今の時代「フリーランス」という職業形態ができつつあります。これもネットが発達したお陰で可能になった職業形態なのですが、例えば、自社のホームページ作成をする時に社内に詳しい人がいない場合、外注業者に依頼することがあります。

ホームページはそうそう毎月作るものではないので、スタッフを雇用するよりもその都度外注したほうが安上がりなのです。そこで考えておきたいのが外注先への報酬の支払い形式です。

 

給与と外注費

外注先に何かを依頼する場合、費用の内訳は「外注費」となると考えている人が多いですが、必ずしも外注費として支払わなくてもいいのです。

外注した人に対して「給与」の名目で費用を支払うという場合もあります。たとえば、外注先が一人のエンジニアであればいいのですが、複数のエンジニアでチームを組んだりすることがあります。

先述したホームページの例では、デザインを担当する人とホームページの設計を担当する人、スクリプトなどのプログラムを担当する人などに分けることがあります。

この場合、そのチームの代表者がフリーランスとして報酬を受け取ったとしても、実際には複数の人に報酬が分配されるため、経理上は「給与」と判断される確率が高いです。

 

外注費として支払った方が税務上はお得!?

外注先に支払う報酬の区分として、給与なのか外注費なのかで違ってくるのは、消費税に関するものです。

給与は、消費税の課税対象外の支払いとなり、外注費は消費税の対象となります。これでは、給与で支払った方がお得なのでは?と思われるかもしれませんが違います。

自分の会社で利益を出した場合、その利益に含まれる消費税と、仕入れや外注などのコストに含まれる消費税の差額を納付します。それでないと仕入れで消費税が取られ、利益からも消費税が取られてしまうことになりますからね。

ですので、消費税の対象となる外注費として落とした方が、結果的にお得になります。

 

SOHOクラウドソーシングを利用しよう

SOHOとは「Small Office Home Office」の略で、簡単に言えばネットビジネスや在宅ワークなどの小規模な個人事業をおこなっている人のことを指します。

近年では「クラウドソーシング」というコミュニティが日本でも発達してきつつあり、これは仕事を依頼したい中小企業や個人と、仕事をしたい個人とが繋がるSNSのようなものになります。

先述したホームページもそうですし、ウェブデザインやシステム開発、プログラミングなどはクラウドソーシングを利用して募集をかけることで、効率的かつ低コストで実現できます。

何事も自分で解決してしまおうとせず、他に詳しい技術者や専門家がいるのであれば、外注するという考えを持つことが重要です。

会社を立ち上げると、まず面倒なのが経理や会計、税務といった社内で必要になる事務作業です。今までやったことがない人にとっては一から学んでいくことになりますし、法律の知識なども身につけていかなければいけません。

経理がしっかりしていないと会社が思うように成長していけないこともありますし、何より税金など、法律的な申告を正しくおこなわなければ、あとあと大変なことになるかもしれません。

 

経理や税務は専門家に丸投げ!

会社を立ち上げて、まだ事業も始めたばかりなのに、専門家を雇うのは気が引けるかもしれません。何しろ、専門家を一人雇うのにお金がかかるからです。しかし、お金をかけてでも雇った方がメリットになることも沢山あります。

・手間がなくなる

会計を自分でおこなうには、会計ソフトの入力方法を学ぶ必要があります。帳簿の管理や書類の作成など、さまざまな事務作業が必要になってくるため、ただでさえ少人数で回している最初のうちは、これだけで業績が落ちてしまうかもしれません。

専門家に丸投げすれば、これらの手続きは全て代行してくれるので、自分たちで入力する必要も整理する必要もなくなるわけです。これがいかに作業時間の節約になるでしょうか?

・従業員を雇うよりも安上がり!

仮に、会計や税務を専門におこなうスタッフを一人雇ったとしましょう。毎月一定の給料を支払わなければいけません。それも税務に一人、経理に一人、会計に一人。。。などと作業分の人員を雇っていては、支出が馬鹿になりません。

それならば専門家に一任してしまった方がよっぽど安上がりですし、手間もかからず、相手はその分野におけるエキスパートですから不安がありません。費用対効果が最も高いのです。

・申告時期や法改正にも安心できる

税務において、税制などは比較的頻繁に改正されます。その度に新しい制度を確認しておかないと、あとあと申告や書類に不備が出てしまい二度手間になってしまうでしょう。

また、確定申告時期が近づいてきても焦る必要がありませんし、万が一の税務調査が来ても慌てる必要はありません。

・融資や経営に関する情報収集ができる

専門家についてもらって事務を代行してもらうと、様々な意見を貰うことができるようになります。起業したての経営者はありとあらゆる知識が不足していますから、専門家の意見を仰げるのは貴重な機会です。

起業したての会社にとっていち早く知りたい情報として、融資や補助金などの情報がありますが、税理士事務所ではこうした情報が素早く入手できます。

 

最後に

いかがでしょうか?専門家に依頼することによって、無知な起業したての社長さんでも悩むことなく、経理や税務をスムーズに進められます。

法律というのは多岐に渡り複雑で、知らなかったでは済まされないようなものも沢山あるのが悩ましいところです。何より会計や税務という複雑な事務作業から開放された社長さんは、より一層アクティブに動くことができます。

結果、事業の成長も早まるというわけです。お金がかかることが必ずしも悪い事とは限らず、必要な場面で必要な出費ができるかどうかがまずは重要になってきます。

事業で一定の利益を出すと、それを会社の売上げとして決算しなければいけません。それによって会社全体の法人税などが決まってくるワケです。発生した収入の請求書を作成する際などに、よく「税抜き」「税込み」というものがあります。

もっと分りやすい例で言うと、コンビニで販売されている商品の値札で、税込み表示のものと税抜き表示のものがありますね。そんな税込・税抜についてお話ししていきます。

 

税込と税抜とは?

以前の記事でもお話ししましたが、事業者は消費税を国に納めるという役割もになっています。たとえばコンビニで商品を購入した場合、消費者はお店に税込の金額を支払います。

消費者はこれで消費税の支払いが完了したことになるのですが、これはあくまでも間接的に消費税を納めたに過ぎません。ここからその事業者が受け取った消費税を国に納めなければいけないのです。

そして課税事業者は、経理で預かった消費税や納税した消費税を記帳する必要がありますが、この記帳方法に「税抜」と「税込」があるのです。

 

税込経理と税抜経理の違いとは?

では、実際の記帳方法ですが、税抜きの場合、売上げの中から消費税を抜いて計算します。たとえば10,800円の売上げの場合、利益が10,000円となり、消費税の800円は抜いて計上されます。最初から10,000円を受け取ると、税の計算が若干面倒なので、たいていは商品代金に税金が上乗せされた額を請求します。

続いて税込の場合、10,800円が丸ごと利益として計上されます。消費税を区分しないのでこちらのほうが経理上はとても楽です。もちろん、消費税を支払わなくて良いワケではなく、この利益の中からしっかりと消費税が引かれます。

 

法人税の計算上は「税抜」のほうがお得!

では、どちらがお得なのかを考えてみましょう。どちらも上記の例だけで見ると、支払わなければいけない消費税は同じです。ところが法人税など、他のものが絡んでくると話は別になります。

売上げに対して税込処理をすると、事業で使う経費や資産の取得にも同様に税込処理が必要になってきます。税抜で計算すると、経費などは税込・税抜のどちらでも良いことになっています。

つまり、売上げを税込で計算すると、経費やその他の諸費用に対しても消費税が差し引かれてしまうのです。税抜で計算しておくと、経費や資産の取得に対して消費税をふくめなくてよくなるため、結果的に余計な税がかからず節税に繋がります。

ここら辺が非常に曖昧で、知らないと損をする部分でしょう。売上げから消費税が引かれるのは仕方ないとして、自分たちが支払った経費にまで消費税がつくのはいささか忍びないことです。

 

固定資産の取得税について

土地や不動産などの固定資産を取得した場合、その取得にかかる消費税がありますが、これも税抜計算で売上げを計上しておくと、その年度の費用として計上できます。つまり、その年度で支払いを済ませることができるわけです。

税込の場合、固定資産の取得で発生する消費税が固定資産の所得価格に含まれてしまうため、事業費用としての扱いにはならず、減価償却費として何年か支払い続けなくてはいけなくなります。

これが、先ほど例に出した資産の取得で税抜計算が勝っている点です。このように、税に関しては非常に複雑な部分も多いので、税理士に相談しながら記帳していくのがもっとも無難です。

写真:大平 清貴

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