以前も記事で、ビジネスのしかたには法人事業と個人事業の二種類の方法があると説明しました。どちらでビジネスをおこなっていっても問題はないのですが、個人事業と法人事業にはそれぞれメリット・デメリットがあることもお話ししてきたと思います。

そこで今回は、法人化のタイミングについてお話していこうと思います。具体的には、「法人化で個人事業よりもメリットが大きくなるタイミングはいつか?」というようなお話しになります。

 

・所得が1,000万円を超えた時

一般的によく言われていることとしては、所得が1,000万円を超えたら法人化をするのがタイミング的によろしいとされています。これは、税金面や経費の面で、法人化したほうが有利になるからです。具体的には、1ヶ月の収入が80〜90万円を超えたあたりで法人化すると良いようです。

個人事業でも経費を使うことはできますし、法人化をしたからといって所得税がかからないワケではありませんが、日本の法律上、累進課税を採用しているので、どうしても所得が上がれば上がるほどに、税率も高くなります。

 

・法人化の準備が整った時

法人化をする方法は、法人登記をするだけです。今や会社法が改正され、資本金1円から株式会社を設立することができるようになったので、起業資金さえ用意できれば、誰でも起業できることになります。株式会社を立ち上げるのに手続き上かかる費用は、だいたい25万円前後と言われています。

また、スタート時に資本金1円から立ち上げることができるようになった株式会社ですが、現在でも資本金1,000万円の基本は変わっていません。つまり、1円スタートの場合、後から(5年以内に)頑張って資本金を増やさなければいけないということです。なので、資本金の1,000万円と法人登記にかかる費用や、事務所のテナント、備品にかかる費用など、一通りの資金を準備できたタイミングで起業するというのもひとつの方法です。

どちらにしても、1,000万円を溜め込むということは、収入の水準が高くなければできません。年収で1,000万円を稼ぐか、資本金の1,000万円を溜め込んだら法人化をするといいでしょう。

 

法人化の節税について

個人事業では、ほとんど節税をすることができません。利益のほぼ全てが「所得」として換算されてしまうためです。しかし、法人の所得になると色々と割り振ることができるようになるため、税金面で節約ができます。

個人の所得が低いうちは、あまり節税について考える必要はありませんが、所得が上がるにつれて累進課税によって税率もどんどん上がっていくので、節税について考えていく必要が出てきます。その最も最適なラインが先ほどお話しした1,000万円あたりのラインというわけなのです。

正直、あまり収入が少ないうちから法人化をしてもメリットは殆どありません。節税対策も何も所得税率がもともと低いからです。法人化することで税務や経理が複雑になることも考慮すると、やはり法人化するタイミングは見計らったほうが良さそうです。

 

経費について

仕事や業務に関連する事柄で使用した出費については、経費を使うことで節税になります。しかし、個人事業では経費として計上できる範囲が狭いので、この部分に関しても法人化するメリットはあると言えるでしょう。

 

・事業を拡大する時

現在おこなっている事業を拡大して、さらに利益や知名度を高めていこうというようなタイミングでは、やはり法人化したほうがメリットが大きくなります。たとえば、何か製品を販売する場合に、個人名で販売するのと法人名で販売するのでは、たったそれだけのことでも消費者の信頼度や印象が変わってきます。

また、一定の事業予算が必要で、融資を検討している時などにも法事かのメリットはあります。個人事業よりも融資を受けやすくなりますし、法人化することによって社会的な信頼度が高まります。

 

・法人相手に取引をする場合

共同で事業をおこなう場合や、何かしらの契約を企業間で結ぶ場合には、法人化のメリットが大きくなります。法人企業と契約を結ぶ場合に、個人事業者よりも法人のほうが信頼度が高いことは言うまでもありません。

それだけではなく、法人格として対等な取引を持ち込むことができるため、こちら側としても取引が有利に運びやすくなります。個人名というだけで取り合ってくれないということもよくあります。

 

肩書きが法人だというだけのことなのですが、それだけでブランドとしての意味合いをもってしまうのが、法人というものなのです。

事業を興す場合には、大きく2種類の方法があります。個人事業と法人事業です。ビジネスを始めるには会社をおこすというのが当たり前のように考えられていますが、実は個人事業として事業をおこなっている人もとても多いのです。そして、必ずしも法人設立がメリットになるワケではありません。この2種類の方法のメリットとデメリットを見ていきましょう。

 

個人事業!必要な手続きは?

個人事業を始める場合に、必ず必要になってくるのが「届出」です。これは、たとえ内職であっても内容に関わらず個人事業には必ず届出が必要ということになっています。なので今非常に人気のあるインターネットビジネス(アフィリエイト)などを始める場合も、個人事業としての届出が必要ということになります。

必要な届出は、まず地域の税務署に個人事業の「開廃業等届出書」を提出し、各都道府県の税務署もしくは市役所の税務課などで「事業開始等申告書」を提出すれば、個人事業の手続きは完了です。

 

個人事業のメリット・デメリット

個人事業としてビジネスをおこなうことのメリットとしては、まず、手軽に誰でもビジネスをおこなうことができるというメリットです。会社を立ち上げるのと違って、手続きもシンプルで資本金も必要ありませんし、事業内容に際限がないので、思い立つ限り、自由に事業を行うことができます。たとえば、飲食店を経営し、そこから家庭内ビジネスに切り替えることもできます。

一方で、個人事業では利益の全てを収入として計算しなければいけないため、利益が出れば出るほど税金もたくさん支払わなければいけなくなります。経費で使える範囲も狭いので、節税には向きません。法人化するほどの膨大な利益がない場合におすすめの設立方法になります。

 

法人起業に必要な手続きは?

法人事業に乗り出す場合には、株式会社を立ち上げるのが一般的かと思います。個人事業と比べると手続きが若干複雑になり、法人登記に費用もかかってきます。また、資本金を設ける必要が出てきます。

株式会社の法人登記にかかる費用は約25万円程度となっています。資本金に関しては1円からスタートすることができますが、株式会社の基本的な資本金額は1,000万円となっているため、5年以内には資本金を1,000万円まで引き上げなければいけません。

事業内容には一貫性を持たせる必要があり、事業内容を変更する場合には、定款の変更が必要となります。また、社会保険にも加入する必要があります。株式会社の設立に関しては、さまざまな手続きや専門知識が必要となるため、税理士や司法書士などの専門家を介しておこなわれるのが一般的です。

 

法人化のメリット・デメリット

法人化をするメリットは、社会的な信頼度が高まります。個人名での事業運営に比べて「○○会社」の肩書きがつくため箔がつきます。また、経費として利用できる範囲も広まるため、資金調達の面や節税対策にもとてもメリットがあります。

一方、デメリットとしては、個人事業ほど柔軟に事業を行うことができなくなります。手続きも複雑になるため、専門知識が必要となったり、専門家を雇う必要が出てきます。

しかし、一定以上の収益が安定してある場合には、節税面や経費面でのメリットも大きくなるため、法人化するメリットのほうが大きいと言えるでしょう。

 

事業を始めるには、このような点を意識して、個人事業として進めるか、法人化するのかを検討してみるといいでしょう。また、個人事業としてスタートしたあとに、タイミングを見計らって法人化することもできるので、まずは個人事業として届出を出しておくのもひとつの方法です。

個人にせよ法人にせよ、必要になってくるのが税理士などの専門家の存在です。個人事業といえども経理や税務などの面を考えると、多少専門知識が必要になりますので、このような部分に余計な時間をかけるのは効率的ではありません。専門家とタッグを組んでいつでもアドバイスを受けられるようにしておいたほうが、手続き上も不安がないと思います。

会社、つまり法人企業を新たに設立するには、さまざまな手続きが必要になります。会社設立にかかる費用もありますし、必要な法律上の手続き、開業の準備など、様々な要素が関係してきます。

費用の面でいえば、法律改正によって株式会社が資本金1円から設立できるようになったことが有名ですが、これはあくまでも資本金の話で、設立にはそれ以外にも法的な費用がかかってきます。

 

法人企業の種類は?


まずは、法人企業の種類から簡単に説明していこうと思います。現在日本にある会社は、株式会社、有限会社、合名会社、合資会社、合同会社などからなります。このうち、有限会社は現在では新たに設立することができなくなったため、会社設立で新たに有限会社を設立することはありません。

一般的には、株式会社や合同会社が日本の企業の大部分を占めています。これは有限責任・無限責任などの形態にも関係してくるのですが、上記の2社は有限責任、つまり、倒産したり会社をたたむ場合の金銭的な責任が資本金の範囲内で収まるという特徴があり、無限責任を強いられる会社形態よりも設立しやすいメリットがあります。

 

株式会社は本当に資本金1円で設立できるのか?


株式会社は2006年の新会社法によって、資本金1円で設立することができるようになりました。それまでは資本金が最低1000万円必要でしたので、これは起業家にとってとても嬉しいことです。

会社を興す時は、まだ何も始めていないので資金がなくても始められるけれど、結局のところ5年経ったら1000万円の資本金がなければ株式会社として成り立たないのです。つまり、株式会社の資本金の最低ラインは結局1000万円ということです。

 

会社設立にかかる最低限の費用はどれくらい?


これについては設立する会社の形態によっても違ってきますが、合同会社の場合はだいたい6〜10万円程度、株式会社の場合は20〜25万円程度の費用で設立することができます。これは資本金とは関係なく、会社設立の手続きにかかる法的費用です。

これらのおもな詳細を説明すると、まず、合同会社の場合はシンプルです。登記に必要な登録免許税を支払って手続きすれば完成です。これが電子定款と印紙定款とがあり、電子の場合は60,000円のみとなり、紙での定款の場合は、これに印紙代が40,000円かかってきます。

株式会社はもう少し複雑になり、登録免許税が150,000円、定款認証料に50,000円、用紙での定款の場合には印紙代が40,000円かかってきます。他には定款の内容を写した保存用の謄本に2,000円かかります。これは1枚1,000円で、提出用と控えの2枚を用意しなければいけません。

 

これらが会社設立にかかる実質の費用負担とその手続きになります。資本金1円の株式会社でも、1円で設立することができるわけではないんですね。ご紹介した費用はあくまでも手続き上最低限の費用で、実際には会社の備品やオフィス、機器など、さまざまな準備にも費用がかかってきます。

写真:大平 清貴

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