事業を興す場合には、大きく2種類の方法があります。個人事業と法人事業です。ビジネスを始めるには会社をおこすというのが当たり前のように考えられていますが、実は個人事業として事業をおこなっている人もとても多いのです。そして、必ずしも法人設立がメリットになるワケではありません。この2種類の方法のメリットとデメリットを見ていきましょう。

 

個人事業!必要な手続きは?

個人事業を始める場合に、必ず必要になってくるのが「届出」です。これは、たとえ内職であっても内容に関わらず個人事業には必ず届出が必要ということになっています。なので今非常に人気のあるインターネットビジネス(アフィリエイト)などを始める場合も、個人事業としての届出が必要ということになります。

必要な届出は、まず地域の税務署に個人事業の「開廃業等届出書」を提出し、各都道府県の税務署もしくは市役所の税務課などで「事業開始等申告書」を提出すれば、個人事業の手続きは完了です。

 

個人事業のメリット・デメリット

個人事業としてビジネスをおこなうことのメリットとしては、まず、手軽に誰でもビジネスをおこなうことができるというメリットです。会社を立ち上げるのと違って、手続きもシンプルで資本金も必要ありませんし、事業内容に際限がないので、思い立つ限り、自由に事業を行うことができます。たとえば、飲食店を経営し、そこから家庭内ビジネスに切り替えることもできます。

一方で、個人事業では利益の全てを収入として計算しなければいけないため、利益が出れば出るほど税金もたくさん支払わなければいけなくなります。経費で使える範囲も狭いので、節税には向きません。法人化するほどの膨大な利益がない場合におすすめの設立方法になります。

 

法人起業に必要な手続きは?

法人事業に乗り出す場合には、株式会社を立ち上げるのが一般的かと思います。個人事業と比べると手続きが若干複雑になり、法人登記に費用もかかってきます。また、資本金を設ける必要が出てきます。

株式会社の法人登記にかかる費用は約25万円程度となっています。資本金に関しては1円からスタートすることができますが、株式会社の基本的な資本金額は1,000万円となっているため、5年以内には資本金を1,000万円まで引き上げなければいけません。

事業内容には一貫性を持たせる必要があり、事業内容を変更する場合には、定款の変更が必要となります。また、社会保険にも加入する必要があります。株式会社の設立に関しては、さまざまな手続きや専門知識が必要となるため、税理士や司法書士などの専門家を介しておこなわれるのが一般的です。

 

法人化のメリット・デメリット

法人化をするメリットは、社会的な信頼度が高まります。個人名での事業運営に比べて「○○会社」の肩書きがつくため箔がつきます。また、経費として利用できる範囲も広まるため、資金調達の面や節税対策にもとてもメリットがあります。

一方、デメリットとしては、個人事業ほど柔軟に事業を行うことができなくなります。手続きも複雑になるため、専門知識が必要となったり、専門家を雇う必要が出てきます。

しかし、一定以上の収益が安定してある場合には、節税面や経費面でのメリットも大きくなるため、法人化するメリットのほうが大きいと言えるでしょう。

 

事業を始めるには、このような点を意識して、個人事業として進めるか、法人化するのかを検討してみるといいでしょう。また、個人事業としてスタートしたあとに、タイミングを見計らって法人化することもできるので、まずは個人事業として届出を出しておくのもひとつの方法です。

個人にせよ法人にせよ、必要になってくるのが税理士などの専門家の存在です。個人事業といえども経理や税務などの面を考えると、多少専門知識が必要になりますので、このような部分に余計な時間をかけるのは効率的ではありません。専門家とタッグを組んでいつでもアドバイスを受けられるようにしておいたほうが、手続き上も不安がないと思います。

写真:大平 清貴

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